見え方にこだわる白内障手術
【眼内レンズについて】
白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、人工のレンズ(眼内レンズ)に置き換えます。眼内レンズの種類や度数を調整することで、近視や遠視の治療も可能です。当院では、患者様のライフスタイルに応じて、ご要望にあった眼内レンズをご提案し、手術後に快適に過ごしていただけるように努めています。
■単焦点眼内レンズ
単焦点眼内レンズはピントが合う距離が1つの眼内レンズのことです。白内障手術後、単焦点眼内レンズを入れた後は白内障のにごりがなくなり非常に明るくなり見やすくなりますが、ピントが合う距離が1点しかありません。
■多焦点眼内レンズ
多焦点眼内レンズは、焦点を1つの距離のみに合わせる単焦点眼内レンズと異なり、遠距離、中間距離、近距離など複数にピントが合います。手元から遠くまでおおよそピントが合います。多焦点眼内レンズには、いくつか種類があり、この中間距離にピントをもつレンズ(パソコンくらいに焦点が合いやすいレンズ)、近くと中間と遠くの3焦点にピントを持つレンズ(ほぼすべての距離に焦点が合うレンズ)など、海外で実際に使用されている先進的な眼内レンズを取り寄せて手術に使用することも行っております。
当院では、学会発表のデータや眼科医の勉強会などに参加し、様々な角度から検証を行い、唯一ご満足いただけるクオリティの高いと思われる厳選した多焦点眼内レンズだけをご紹介いたします。
■レンテス(Oculentis社)
レンティス(Lentis)は、ドイツのOculentis社が開発した世界最高級の性能をつ多焦点眼内レンズで、今までの眼内レンズの50倍の精度・屈折度数を0.01D刻みで患者様一人ひとりの目に合わせて完全オーダーメイドで作成し乱視も矯正可能です。特徴は、遠くを見る部分と近くを見る部分が明確に分かれていることです。この構造により、今までの多焦点眼内レンズの欠点であった光学的エネルギー損失を約7%程度まで少なくしています。その結果、一般的な多焦点眼内レンズに較べて見え方がシャープで、光のにじみが少なく、まぶしさを感じにくいと言われています。
■アクリバトリノバ(VSY Biotechnology社)
アクリバ トリノバ(AcrivaTrinova)は、オランダのVSY Biotechnology 社から発売された最新の三焦点プレミアム眼内レンズです。光学部の回折エッジは、丸みのある形状に改良され、これにより従来の回折型レンズの欠点である光の輪状散乱 ( ハロー)や光のにじみ( グレア )が軽減される光学設計になっています。さらにEDOF(Enhanced Depth of Focus)という焦点深度を広げる機能を追加され、遠方、中間、近方の見え方がよりスムーズに感じるように設計されています。光量のロスが10%未満と他の回折型多焦点レンズよりも少なく、レンズ度数の適応範囲も広いので、今までの三焦点レンズでは適応にならなかった強度遠視や強度近視、もしくは角膜乱視の強い患者様にも適応しやすくなりました。2017年10月にヨーロッパでスタートしたばかりのまだ歴史の短いレンズですが、全世界的に急速に広まりつつあります。
■ファインビジョン(PhysIOL社)
FINE VISIONは遠方と近方、遠方と中間の2種類のレンズを組み合わせた特殊な構造を用いて遠く・中間・近くの3か所にピントが合う仕組みになっています。従来のレンズとは異なり遠く、近くの視力を落とさず、中間距離にピントが合うことが最大の特徴です。材質は親水性アクリルで、ブルーライトと紫外線をカットしており、レンズはアポダイズ回折型で非球面デザイン。この構造により、グレア・ハローの症状も軽減されています。
■ミニウェル・レディー(SIFI MedTech社)
ミニウェル・レディーはイタリアのSIFI MedTech社で開発された従来の回折型や屈折型と全く異なる新しいタイプの多焦点眼内レンズです。プログレシブ眼内レンズ(Progressive IOL))と呼ばれるレンズ光学構造は、球面収差の原理を利用しており、近方距離がやや弱いものの、遠方から中間距離まで連続して良好な明視域を保持することを実現した世界的に注目度の最も高い多焦点眼内レンズの一つです。従来の多焦点眼内レンズの宿命とされているグレアやハローといった自覚症状やコントラスト感度の低下が全くなく、ヒト水晶体眼に最も近い自然な見え方を実現した多焦点眼内レンズです。これまでグレア・ハローの影響やゴーストビジョンなどの懸念のため、回折型や屈折型の多焦点レンズともに適応が難しかった夜間ドライバーの方や片眼のみが白内障で手術をご希望される方には新たな福音となります。